チェンマイに暮らし始めた知人が「チェンマイにはあちらこちらに防災用品のセットが売っているのね、早速ひとつ買ったわ」と言うので、一体何のことかと思ったけれど、話しを聞いてみると、それは僧侶に寄進するサンカターンのことであった。確かに、バケツなどの容器に洗剤や懐中電灯、保存が利く食べ物など、非常時に役立ちそうなものばかりが入っていて防災用品セットのようにも見える。
サンカターンとは、バーリ語起源のタイ語でお布施という意味である。国民の95パーセントが仏教徒のタイ国では、仏教関連の日や冠婚葬祭の折以外にも、自分の誕生日や思い立った時にいつでも寺院へ行き、僧侶に寄進するという風習が、今なお日常生活の重要な一部となっている。街中や市場の一角や、スーパーの中にも、仏教関連のものを扱う店やコーナーがあり、お布施グッズのサンカターンはそういう場所に必ずあるものだ。
私はタイでいう仏教徒ではないけれど、タイでの暮らしはタイの仏教の教えのひとつのように、自然と日本でのそれよりシンプルなものとなっている。贅沢なもの、余計なものがあまりない、シンプルな暮らしはとても気に入っている。日本人である私が、日本の古きよき慣習であるお中元やお歳暮をほとんどしないことまでも、“シンプルな暮らし”と呼んでよいのかは疑問が残るが、そのような慣習に遵守していない分、贈りものは差し上げたい方にお渡ししたいタイミングで、喜んでいただけるようなものを贈るように心がけている。
お世話になった方へのお礼、大切な友人へのプレゼント、お祝いしていただいたお返し。贈りもののマナーもたくさんあり、本当は改めてもう少し勉強した方がよいのだろうけれど、贈りものをするときに何よりも大切なことは、相手が喜んでもらえるものを贈ることであろうと思う。sal laboratories の石鹸やクリーム、そしてガスールは自分が使ってみて感激するくらい使い心地がよく素晴らしいので、贈る相手にも喜んでもらえるだろうと確信して、これまでに何度か利用させていただいた。
先日は、ロンドンを拠点にダンサーをしている大学時代の友人への贈りもの。上質でシンプルな肌ケアができるsal laboratoriesのギフトセットは、ショーで世界中を飛び回る忙しい彼にもきっと喜んでもらえるだろうと期待して。sal laboratoriesのスタッフの方たちが心をこめて作ってくださったセットの内容は、石鹸、クリーム、そしてガスール。それらを竹かごに入れて、前述のサンカターンの伝統的な包み、お布施を僧侶に寄進するときの包み方で包装してくださった。熱心な仏教徒であるタイ人スタッフの方たちが考えてくださったこの包装の仕様は、見た目が美しいだけでなく、贈りものの中身にさらに気持ちが込められるようで私もすっかり魅了されている。
トロント公演から戻った友人は、ロンドンの自宅に届いていた小包を広げて、「説明をお願い!」と連絡してきた。あれ? 説明書を入れてもらったはずだけど・・・・と思いながら、sal laboratoriesの石鹸のユニークなミツロウコーティングのこと、ミツロウはその後キャンドルとして使えること、素材のこと、クリームの万能性、肌へのやさしさ、ガスールの使い方、肌が喜ぶような気持ちがいい使用感、それから、この贈りものセットが包まれた布のこと、その包み方のこと。お互いの近況報告も忘れて、すっかりsal laboratoriesの話しで盛り上がった。
良質で使い心地が素晴らしいsal laboratoriesの商品をはるばるロンドンの友人へ贈ることができて満足だったが、そのひとつひとつのストーリーやタイ特有のサンカターンの包みのことまで話しができて、その時間を含めて、すべてが贈りものとなった。 また特別な贈りものに、sal
laboratoriesの商品をぜひ利用させていただきたい。贈る側の私も幸せな気持ちで満たされるから。
註:ギフトセットは開発中のサンプル商品です。多くの皆様にご提供できるよう、年内の製品化を目指しております(sal laboratories)
註:ギフトセットは開発中のサンプル商品です。多くの皆様にご提供できるよう、年内の製品化を目指しております(sal laboratories)
沖縄県出身。津田塾大学国際関係学科卒業、在学中に英国エジンバラ大学へ留学。
2002年、服飾関係の仕事でタイ・チェンマイへ初めて来る。
仕事の契約期間の1年の駐在のつもりが、タイ人の夫と結婚して今年でチェンマイ滞在も13年目。
夫の旅行業務・撮影コーディネートの手伝いをしながら、服飾の仕事も続けている。