2014年9月24日水曜日

ふと思い、そしてじっくり考えたこと(その1) It flashed across me(01)

ふと今の仕事を振り返ることがあります。学生時代のアルバイトを含めるとこれまでずいぶんいろいろな仕事をさせてもらってきましたが、そのどれもが事務仕事や販売業、サービス業といった職種ばかりで、製造業(ものづくりの現場)という業種自体が実は初めてだったということに最近気づきました。
製造業といっても種々様々で、洋服や靴など身に着けるものに始まり、鉛筆やコップや机のように日常的に使うもの、食料品から電化製品に至るまで私たちの身の回りにはありとあらゆるものたちで溢れています。これだけのものに囲まれ、使う生活をしているにも関わらず、今までものづくりの現場を体験することもなく、そしてまたそれほど気にすることもなく過ごしてきた私の、今までの暮らしや仕事というのはずいぶん偏っていたものです。
なにも仕事で経験しなくても、おそらくみんな普段の生活の中で体験してきているのでしょう、子どもはいつの時代でも遊びを考えだしたり、ものを他のものに見立てたりする天才だと思っていますが、私は図工や技術家庭科の授業以外でなにかものを作ったという記憶もあまりありません。小学生くらいの時は自分で遊びを考え出したり発見したりしてそれなりに楽しんでいたとは思いますが、せいぜい人並み程度のものでした。いったいどんな子ども時代を送っていたのでしょう。

思うに、ものづくりに興味がなかった訳では決してなく、興味はあるけれど突き詰めてやり遂げるだけの根気はなく、周りの大人はみんな忙しく、何となく形になればまぁそれでよしとする、いわゆる飽き症でいいかげんな性格が災いして、作ることの楽しさを知らない大人になった気がします。
こんな私が、ものづくりの分野の中でも手作りでものを生み出す仕事に関わる機会が得られるなんて、1年前の私ですら想像していなかったのに子どもだった頃の私が知ったらびっくりするに違いありません。

最近友人と会ってゆっくり話をする機会があったのですが、私は転職して半年足らず、友人は今まさに転職しようとしているタイミングだったので、話す内容はついつい仕事の話になりました。その時友達に「あなたの仕事に対するモチベーションは会社に対する責任感や貢献度に左右されるんだね」と言われ、ドキッとしました。「仕事ってそういうものじゃないの」と聞くと、「例えばあなたのように手作りでものを作る会社で働くような人は、ただ石けんを毎日手に取って触れることが大好きで、幸せだっていう人が多いんじゃないかと思った」という友人のその言葉を聞いて、目から鱗が落ちた思いと同時に少しショックを受けました。
石けんが好きかどうかという問い以前に、それの作られる過程を知ろうともせず使うだけだった私がこの先働いていけるかどうか、急に不安になったのです。
今、ものづくりの過程や新しいものが生まれる試行錯誤の段階を目の当たりにする毎日を送っていますが、なにか課題にぶち当たったとき特に、作られる過程を知ろうとせず使うだけだった私の想像力・発想力の低さを痛感しています。
今までの私は、ものづくりの仕事は単調で同じことの繰り返しで地味とどこかで思っていました。それだからいつも興味のあることが散満としていて、少し手をつけてはひらひら飛び回っていました。でも、同じことの繰り返しだからこそ日々の微妙な違いに気づき、同じことを繰り返してきたからこそ解決法を生み出せる。今まで何度となく耳にした言葉ですが、実感を持って理解することができたのはこの仕事に就けたからこそです。

農業や製造業に携わり、様々なものを生み出すことを生業にしている人たちと一方、私のようにただただ使って消費するだけの人。生み出す暮らしを常にしている人たちの知恵・知識・忍耐に、ただそれらを消費するだけの人々は絶対に敵わないなと気づいたとき、今まで漠然と、でも常に感じていたスタッフたちに対する尊敬の気持ちの理由がやっとはっきり分かった気がしました。

そして、私たちの会社のスタッフは会社の休日に農業に従事している人も多いという事実も私のこの気持ちを裏付けしてくれているようでうなずけます。(Momoko Katsuyama