先日の日曜日、たまった洗濯物を午前中で片付け、家の裏手になっているレモンをひとつもぎ、蜂蜜の入ったボトルを鞄に放り込んで、温泉に行ってきました。
チェンマイをはじめ、こちらタイ北部ではあちらこちらに温泉が湧いています。公園が整備された市民の憩いの場ともいうべき公営の温泉施設から、山越えの未舗装路を行きたどりつくローカル温泉までその種類は様々です。日本人の温泉好きはこちらタイでも同様で、退職後のロングステイを楽しんでおられる方で温泉巡りをされている日本人は大勢いらっしゃると聞きます。
今回は、自宅から30kmほど離れた場所にある、公営サンカンペーン温泉に行くことにしました。
この公営サンカンペーン温泉は、12ヘクタールもの広大な敷地に足湯や個人風呂など様々なタイプの温泉をはじめ、プールや公園・児童遊園・レストラン・マッサージ店まで揃っています。売店で生卵を買って温泉卵を作るもよし、足湯に浸かりながら友達とおしゃべりするもよし、コテージで宿泊もできるし、アウトドアが好きな人にはテントを持ち込んでキャンプまでできる、老若男女・おひとり様でも家族連れでも違った楽しみ方のできるオールマイティの総合温泉テーマパークなんです。
我が家には残念ながら湯船がないため、ときどき無性に湯船に浸かりたくなった時はこうして温泉に遊びに来ます。目的はただひとつ、湯船に浸かることなので温泉卵も足湯もプールも素どおりです。一直線に浴室付きのコテージに向かいました。
タイは今一年で一番暑い季節で、こんな日にお湯に浸かりに行くなんて言うと、タイ人からは気でも狂ったかというような顔をされます。実際、私が温泉に行った日もプールや児童遊園では休日を楽しむ家族連れを見かけましたが、浴室施設の方は閑古鳥が鳴いていました。
タイは今一年で一番暑い季節で、こんな日にお湯に浸かりに行くなんて言うと、タイ人からは気でも狂ったかというような顔をされます。実際、私が温泉に行った日もプールや児童遊園では休日を楽しむ家族連れを見かけましたが、浴室施設の方は閑古鳥が鳴いていました。
さっそく湯船にお湯を張ると硫黄の香りが湯気とともに立ち上ってきます。そこで鞄の中からレモンと蜂蜜と、この日のために取っておいたガスールとダフネ石鹸を取り出します。そうです、もぎたてのレモンと蜂蜜はジュースにするために持って来た訳ではなく、とっておきのバスタイムにするために持って来たのです。
ガスールに温泉水を含ませると、みるみる水分を吸収してモコモコと盛り上がってくるようです。パックをするために少し濃いめに溶かし、そこに蜂蜜をたらしてさらに練ります。「色が濃緑色ならまるでお濃茶のようでおいしそう。」なんて考えながら、厚めに顔に塗っていきます。ふんわり蜂蜜の甘い香りがして気持ちが豊かになってくるのが分かります。
ダフネ石鹸で体を洗い、この日は髪の毛も洗ってみることにしました。しっかり髪を濡らしたら、石鹸を地肌に当ててクルクルと輪を描いていきます。そして2度洗い。以前はここで終えたため、シャンプー後の髪がキシキシしてしまったので、今回はレモンのリンスを試してみます。
シャンプーをしてアルカリ性になった髪の毛に酸性のものを加えて中和する。初めて聞いたときは、「へ、そういう理屈なの?」と思いましたが、石鹸について知れば知るほどそれが「なるほど」に変わっていきました。この日はそれを実地で試してみる初めての機会、ワクワクしながら髪の毛をレモン水の中に浸していると、しばらくして明らかに手触りが変わりました。市販のリンス剤やトリートメント剤は、成分が髪の1本1本をコーティングしているような、洗い流しても何かが髪に残っているようなぬるりとした上がりになりますが、レモンリンスの方はさらりとした感触で、余計なものが髪に付いていない感じです。慣れ親しんだいつものぬるりじゃなくても、こういう上がりも気持ちいいかも、と新たな発見です。
このレモンリンスの新たな発見は、私たちの身の周りにはたくさんの小さな化学が溢れているんだなぁと身をもって教えてくれました。普段暮らしていると意識すらせずに素どおりしてしまうけれど、もっともっと面白い化学反応が周囲で起きているかもしれません。高校の化学の先生も、リトマス紙ではなくこうした身の周りのものを使って酸性・アルカリ性を教えてくれていたら、私は今でも覚えていただろうなぁ。。。
顔も体も髪もバッチリ、あとはガスールを湯船のお湯に溶かして半身浴です。月並みですが、「日本人で良かった」としみじみ思える瞬間です。こうして外国に暮らしていると、ついつい忘れがちになってしまう日本的な感覚。「しばらくこういう豊かな気持ちを忘れていたなぁ」とちょっぴり反省し、至福の時間を過ごしました。
さて、お風呂を出て時計を見るとすでに4時間以上たっていて、帰り支度をしている売店のお姉さんに「まだいたの!?」と驚かれましたが、心も体もリフレッシュしたいい休日になりました。(Katsuyama)