ソフトウェアもここのところ主要なものは大概多言語対応となっており、タイで購入したMS Officeでもスタッフたちは皆(日本人もタイ人も)自分の言語環境で問題なく使えています。
そんな中で先日、これまで使っていた一世代前のMacBook Airから最新のMacBook ProのRetinaモデルに買い替えた時です。Macの場合、通常であれば環境の移行は「移行アシスタント」で勝手にやってくれます。非常に優れたプログラムです。新しいマシンでも、アプリやその設定、やりかけの仕事も含めて全部、これまで使っていた環境がそのまま移行されるはずです。建前は。とはいえ今回はWiFi経由であったため時間にして一晩(7〜8時間)かかりましたが。
朝目を覚ますと移行プログラムが終了しており、新しいマシンを起動してみると(そういえばパーソナルコンピュータのことを「マシン」と呼ぶのは日本ではMacユーザーだけのように思います。思い入れが違うのでしょうか。通常は「PC」、もしくは「パソコン」と呼ぶようです)、一見すると移行は完了しているようです。よしよし。半日ほどは問題なく、違和感もなく使えていました。さすがに最新のマシンはスピードも速く、Retinaディスプレイは美しいかぎりです。Macユーザーならではの思い込みと思い入れです。
しばらく使っていたその日の夜、あるExcelファイルを開こうとしたところ、シリアルナンバーの入力を求められアプリが起動できません(これに気づくまで丸一日掛かったのには、いかに私が日頃ビジネスアプリを使う頻度が低いかということです。事務従事者の方々は別として皆さんそうだと思いますが、ほとんどがWebブラウザと、そこから提供されるサービスで事足りています。あとはシンプルなテキストエディタがあれば過不足ないといえます。図らずもMicrosoft社の、というかソフトウェアメーカーの凋落を見ました)。
というわけで、購入したソフトウェアのシリアルナンバーなど当然そらで言えるはずもなく、ほとんどの皆さんがそうだと思いますが、買った時のパッケージを保管して、必要となった時に箱をひっくり返して確認し、一文字一文字入力するしかありません。
というわけで、私は現在、飛行機に乗って東京の家に来ており、本棚からOffice 2011の箱を探し出し、シリアル番号を入力しています。そして今度はWebを更新しなければ! ということでWeb制作ソフトを立ち上げたところ、MacBookProのOXが最新のMavericksになっており、その関係からか、またしても「最新のアップデータをすべて適用して下さい、アプリケーションの開発元が最新Mac OS Xに対応しているか確認して下さい。問題が解決しない場合はインストーラ・ディスクより新規にインストールして下さい」とのメッセージ。
ここは日本だ楽勝だとばかりに、さっそくBiND 6の箱を探しインストーラ・ディスクを探したところ、箱の中身は空。そういえばこれは日本を離れる直前にヨドバシで購入したもので、中身はチェンマイへ持ていったことを思い出しました。シリアルナンバーであれば、向こうのスタッフに問い合わせて確認できます。しかしこうしたフィジカル・メディアとなると、情報のやりとりではどうにもなりません。ましてや日本製のソフトウェアは海外ではほとんど入手できません。実際に人間が行くか現物を取り寄せるかです。
世界はネットで繋がっており、場所の制約は受けない。ネット環境とその端末さえあれば人はどこに居ようが同じように仕事ができる。よく聞く言葉です。9割方異存ありません。日々その多大な恩恵に与っています。しかし残りの1割が大切です。ファイルをコピーしていても、99%終了しても、残りの1%が完了しなければ、それは不完全ファイルとして全く開く事はできません。
というわけで、今月またチェンマイへ戻ります(多少の脚色はあります)。
ちなみに腕時計は普段、10万年に1秒しか狂わないという日本製の電波時計ですが、チェンマイではそもそも基地局の電波は届きません。向こうではアナログ自動巻のSEIKOを使っています。(J.O.)