2017年1月24日火曜日

物語を乗せる、場所を纏う - nap(Nimanheamin Art and design Promenada)

eavamのスキンケアシリーズの原料のほとんどは、何時・どこで・誰が・どのように生産したか明らかなものです。
それは、私たち自身が現地で調査を行い、信頼できるパートナー(生産者)を見つけることから製品の準備を始めるからです。
この透明性の高い原料を使うことは、使ってくださる方々はもちろん、環境や原料を生産する人々、製造に携わる私たちのスタッフの安全を守るためでもあります。

しかし、実はそれだけではありません。より幅広い理由もあるのです。
それは文化に関わることだから、とでも言ったら良いでしょうか。

化粧の歴史をその始まりまで遡れば、それは、病など悪しきものから身を守ったり、豊穣を願ったり、先祖や異なる性や生き物に変容することで、他者への共感を深めたり。さらには自分に足りない力を手にしたり、他者への敬意を示すといった、祈りの行為でもありました。
肌に色や物、違う形をまとうことで、他者や外の世界と交感することがその根源にあったのです。スキンケアやメイクは肌を守る行為であると同時に、文化を作り上げていく行為でもあったと言えるでしょう。
そうしてみると、現代の好感度を上げるメイクなども、自分ごとではありますが、理想の自分に近づきたいという願いの一種とも言えそうです。
このように、肌や身体に、様々なものを乗せることも、より良いあり方・生き方を探るひとつの方法と考えるならば、化粧品やスキンケア製品は、安全性や倫理性といったとても現実的な面ではもちろんのこと、パッケージなどの形、それが使う方々の手元に届くまでの物語においても、美しさや心地よさ、誠実さなど良きものを持っていてほしいと私たちは思うのです。

そのようなコンセプトを元に、私たちは中身はもちろんのこと、eavamの陶器の器と赤ちゃんの産着のような布袋、手漉き紙の包みなどのパッケージもデザインしています。
シンボルカラーに白を選んだのも、白が生命や物事の始まりや、初々しさを象徴する色であり、毎日をいつもそのような新鮮な心持ちで過ごせたらという願いからです。

このように普段は肌に乗せ、纏うもの、掌に乗るものを作っている私たちですが、今回は少し大きく体を包むものを作っています。
それは、イベント出店用の小さなブースです。

チェンマイでは毎年寒季に「nap(ニマンヘミン・アート&デザイン・プロムナーダ)」というタイ国中からはもちろん、海外からも人が集まる見本市が開かれます。
観光名所でもあり、ファッショナブルな区画としてタイ国内でも知られるニマンヘミン地区にあるsoi1という小路を会場に、チェンマイでものづくりをする企業や個人がそれぞれの製品や作品を展示販売するイベントなのですが、その審査はなかなか厳しく、狭き門であることでも知られています。
この敷居が高いともっぱらの噂のイベントに、おっかなびっくりエントリー書類を提出した私たちですが、嬉しいことに参加が決まったのです。野外で限られた期間に、こじんまりとしたスペースではありますが、なにぶん初めてのことなので、スタッフたちと試行錯誤・準備している最中です。

身体の周りには、まず肌を守るメイクやスキンケアがあり、時には身体機能を補助したり拡張するメガネや時計などがあり、さらにそれを包む衣類があり、またさらにそれらを包む舞台や部屋、建物といった空間があります。今回、私たちは、その身体全体を大きく包む場所を作るというわけです。普段の直接肌に乗せるもの・小さなパッケージとは少し勝手は違いますが、そこに立てばどこか心が柔らかくなり、肩の力も抜けて、繊細な涼しさや穏やかさが感じられるような、eavamならではの場所ができたらと思っています。
普段は製造に従事しているeavamのメンバーも販売スタッフとしてブースに立ちます。製品体験とあわせ、作り手の真摯な気持ちや仕事ぶりも感じていただけるまたとない機会になるのではないでしょうか。

この時期にチェンマイにいらっしゃる皆様は、ぜひお運びいただければと願っております。(花岡安佐枝)

nap(Nimanheamin Art & design Promenada)について:

会期:2017年1月28日より2月3日まで 
時間:10AM-10PM

会場:ニマンヘミン soi 1  eavam ブース番号 13

nap Facebookページ:https://www.facebook.com/nimmansoi1