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コーヒーは、北回帰線と南回帰線の間のコーヒーベルトと言われる地域が栽培に適しているそうですが、うれしいことにタイもこの芳しい地域に含まれています。なかでも北タイのチェンマイやチェンライの山岳部の豊かな水や涼しい気候は美味しいコーヒーの育成に適しているうえ、タイ王室による山岳民族の生活向上プロジェクトとしてコーヒー栽培が奨励されたこともあり、この地域のコーヒー栽培が大きな産業に育っていくさまは目覚しいものがあります。
美味しさのみならず、安全性や独自性を追求し、森の中でオーガニックコーヒーを栽培するグループも着々と増えています。
コーヒーといえば、数年前までは、練乳やシロップがたっぷりはいった甘い甘いタイ式コーヒー(カフェーボーランと呼ばれる昔風コーヒーで、昔はタマリンドなどコーヒー以外の素材を用いて作られていたとのこと。もちろんこちらもどこか懐かしい味で、タイの味として永遠の定番です)が一般的だったのが、チェンマイでも町のあちこちに「カフェ・ソット(フレッシュコーヒー)」という看板を出して、本格的なエスプレッソやドリップコーヒーを出すカフェが増えました。
長らく本物の美味しいコーヒーに飢えていた在留外国人、旅行者や流行に敏感でシンプルでゆったりした生活を志向する若いタイの人たちにもフレッシュコーヒーは歓迎され、味へのこだわりはもちろん、古いタイの木造家屋をリノベートしたカフェ、土でできたエコハウスのカフェ、郊外の眺望の良い丘の上の手作りの素朴なオープンテラスカフェ、渓谷の小川の上にベンチを並べて川の流れに足をつけながらくつろぐカフェ 、ジャングルの中の大木の上のカフェ( !!) などなど、日本では簡単には実現できない奇想のカフェもでき、それぞれに個性的な人たちが集まってクラフトマーケットや写真展が開かれたり、カフェ文化のようなものの萌芽も感じられます。
少し前に長時間のカフェでのミーティングに席料として2,000バーツが請求されたとニュースでも話題になりましたが、これはあくまで慌ただしい都会での出来事、田舎のカフェではWiFiも当たり前に完備されていることもあって、自分の庭か部屋のごとくじっくり仕事をしたり、世間話に花を咲かせて何時間も過ごす人たちも多く、カフェにこんなゆったり寛容な空気もチェンマイならではのことだと思え、昔の中国の茶館、ウィーンのカフェやイスタンブールやイギリスのコーヒーハウスに、様々な人間模様や文化の始まりがあったことと重なって見えたりもします。
そんな風にずっと前からあったかのようにチェンマイに馴染んでしまったコーヒーの恩恵を私も存分に受けていますが、そうなると気になりはじめるのは、毎日それなりの量がでてくるコーヒーがら、コーヒーを入れたあとの豆の粉の行方・再利用法です。
部屋や冷蔵庫の消臭剤や針山の中味、皮類のワックスの代用品や堆肥などが有名ですが、これらコーヒーがらの再利用法を眺めていると、油分がキーワードになった方法が多い気がします。実際、ターキッシュコーヒーやフレンチプレスで入れたコーヒーの表面にはうっすらと油脂が浮き上がり、生命の源の植物の種でもあるコーヒーが本来それなりに油脂を含んでいるとわかります。
改めて少し調べてみると、コーヒーオイルにはアンチエイジングに効果的な脂肪酸も含まれているようでもあります !!
そこで思いついたのが、今回ご紹介する使用済みのコーヒーの粉を入れたガスールのボディスクラブです。
まず、コーヒー豆に含まれる適度な油脂が肌や髪を重くなりすぎず滑らかに整えますし、ガスールやコーヒーはデオドラント効果があり、さらにコーヒー豆の粒子は優しいスクラブ効果を果たしますから、ボディケアにぴったりです。
さらに油分の他に含まれているカフェインやポリフェノールは肌を引き締める効果があるのですから、セルライトやたるみ、ガサつきが気になる部分などにもぴったり。かてて加えて香りには抜群のリラクゼーション効果もあるのですから、もう至れりつくせりの素材と言えそうです。
レシピは、大さじ3杯のガスールペーストに使用済みの乾燥していない新鮮なコーヒー粉を1.5杯(好みで増減させてください)。
双方をよく 混ぜてから、 全身にやさしくなじませ、洗い流してください。
かかとやひじなどガサつきやすい部分、セルライトが気になる腿の周りなどは、少し丁寧にマッサージしてから洗い流すとさらに効果的です。
普段から石鹸シャンプーを使っている髪には、ヘアパックとしても心地よい香りと仕上がりとなります。
飲めば魔法のようなリフレッシュとリラックスを与えてくれるコーヒー、肌でもその素晴らしい効果を楽しんでみるのはいかがでしょうか。(Asae Hanaoka)