2013年11月27日水曜日

ロックとフリー lock and free

「最初に買ったレコード(CD)は?」との問いは、その人の志向性向を知るには便利な手段。私の場合はボニー・Mの『怪僧ラスプーチン』ですが、外向けにはクイーンの『JAZZ』とデビッド・ボウイの『間借人』(当時はロジャーではなくこの邦題で紹介)と答えていました。たしか小学校の6年生か中学1年であったと思います。親から初めてまとまった額の小遣い(お年玉だったかもしれません)を貰い、何を買おうかと思案していると、当時ロックに目覚めたばかりの二つ上の兄が寄ってきて、私の小遣いに目を付け、これをせしめようとロッキングオンのなにやら小難しい文章が載っているページを見せながら「お前はこれを買わんといけない!  買うべきだ!」と言いくるめられ、デビッド・ボウイというのは七変化の凄いミュージシャンらしい、クイーンのボーカルの人は気色悪いけれど、カセットテープで他のアルバムを聴く限りでは、そのサウンドには大変惹かれるものがある。というわけで小ずるい年長者にそそのかされ、有り金すべてはたいて当時新譜としてレコード屋に置かれていたこの2枚のLPレコードを買ったのでした。


きっかけはこの小ずるい兄でしたが、その後は独自の道を歩み、洋楽においてはパンク/ニューウェイヴの、邦楽に於いてはテクノポップの洗礼を全身に受け、その後ノイズ、インダストリアル、現代音楽、電子音楽、民族音楽と貪りながら、立派なサブカルとなりました。
長じてからは印刷物に目覚め、外国の雑誌やパンフレットのインクの匂いを嗅ぎ、写真やグラフィックにときめき、レコードジャケットの収集に精を出しました。その後は成り行きで編集者となり、情報の囲い込みによってしか成立しえない世界を嫌い、インターネットの存在と考え方に共鳴し、フリーという概念に共感を覚えました。実際にグラフィックマガジンを作り、日本や海外の主要都市でフリーで配布したりもしました。ロックとフリーの極私的融合です。

海外で生活していると、SIMロックの解除された端末は本当にありがたいもの。とはいえここチェンマイではSIMフリーの、日本に戻ってはSoftbankのiPhone5をそれぞれ使っています。
先日、日本でもApple Store限定ながらiPhoneのSIMフリー版が発売されました。http://store.apple.com/jp/buy-iphone/iphone5s ロックよりフリー。我々には「L」も「R」も発音は一緒。(Jiro Ohashi)