2017年5月26日金曜日

eavam取扱店インタビュー 第1回:STUDIO 3

圧倒的なセルフィッシュと絶妙なバランス感覚で、
幅広い層に支持を得る注目のレストラン&セレクトショップ

STUDIO 3Keiko MakinoYuki Makino

チェンマイの旧市街から少し東、ピン河沿いに建つ築100年以上の古い商館、旧シープラカートホテルは、その歴史と文化的価値を大切にするタイ人オーナーと、それに賛同する多くの方々の尽力により、近年補修も進み、新たなコミュニケーションスペースとして注目されています。この場所の中心となっているのが今回ご紹介するSTUDIO 3。自身の体験とお子さんの食物アレルギーから発酵食品づくりを始めたという、牧野さんご夫妻が運営するレストラン&セレクトショップです。ここは単なる自然派レストランに留まらず、さまざまな意欲的なイベントやワークショップの会場にもなり、日々さまざまな国籍と幅広い年代の人々が集います。今回はそんなSTUDIO 3(路面の看板から「TOFU屋さん」とも呼ばれ親しまれる)の成り立ちから、eavamを取り扱っていただいた経緯まで、じっくり話していただきました。



チェンマイと震災と食物アレルギー、そして発酵食品

ーーお二人はチェンマイで暮らし始めて何年ですか?
Keiko/Yuki:今年の5月で5年目に入ったところです。

ーーこちらへ来たきっかけは何ですか?
Keiko2010年に初めての海外旅行でタイのバンコクへ来たんです。なぜかその時に「タイに住む」と決めていました。でもバンコクではないな、と。
2011年に東日本大震災があり、私たちが住んでいた大阪にも被災地から避難してくる人たちが大勢いました。そうしたことから感じられる雰囲気に、ここに居るのは違うのではないか? と思うようになったのがきっかけです。
でも、なぜチェンマイに決めたのかというと直感です(笑)。「バンコクではないなあ」と思いつつも、かといってチェンマイに来たことがあったからではないんです。

Yuki:理由。なんだかわからないですね(笑)。
京都に住んでいた頃、チェンマイに来たことのある友人たちから良い所だとは聞いてましたけど。でも、基本直感を大切にしていますから(笑)。
ぼくの実家が大阪なんですけれど、景観保護地域に指定されている戦前の路地の中にあって、そこを改装して面白い食のお店ができないか頑張っていた時期でもあったんですが、その前の阪神大震災で建物が痛んでいたこともあり、景観保護の助成があるあるならば、耐震のためのサポートもできないか? といったことなどを行政に掛け合ってたんです。しかし古い地域で土地の権利が非常に複雑だったりして、役所があまり面倒なことはしたがらなかったんですよね。
それで「できない理由」を作ってばかりみたいな日本よりは、違う場所で違う時間と労力の活かし方をしてみようと。

Keiko:子供たちが食物アレルギーだったんです。私は日本にいる時から飲食の仕事をしていたのですが、今より知識は少なかったものの、食には普通よりはずっと注意していました。にもかかわらず子供たちがアレルギーになるのか、という問いが自分の中にあったんですね。
そこに3.11のことも相まって、一時期とてもストイックな食生活をするようになっていたんです。でもしんどくなって来たんですね。そうではなくて、もっと楽しんで生活したりケアできるといいよね。となったこともきっかけです。違う場所で食のお店をやってみようと。

ーー食に関する仕事をされているわけですが、単に料理ということだけではなく、調味料自体から作り始めていますし、素材選びや調理の仕方まで強いオリジナリティを感じます。そうしたスタイルのきっかけは? やはりお子さんの食物アレルギーですか?

Keiko:それもありましたけれど、自分たちも、例えば私はずっと低体温症で、飲食の仕事をしていたけれど25歳くらいの時にひどく体調を崩して、そこから体質改善をしようと思い立ったんですね。
例えば中国茶を飲むとか、いろいろ自分の中で試行錯誤して変えていく過程で「何を食べるのか?」がとても大切だと実感したんですね。それで子供のアレルギーとかでも、簡単に病院へ行って薬を処方されるのだけれど、かといって正直、薬もあまり飲ませたくないし。
やはり食べるもので根本から未然に防げるのが一番いいと考えて、試して、辿り着いたのが発酵食品でした。実際に息子のアトピーも腸内環境が悪いことが肌に出るわけで、良くなってくるとアトピーも治まってくる。実際今は全然なくなっています。

ーーたしかに息子さん、言われなければアトピーだったなんてわからないですね。
Keiko:前の写真見たらびっくりすると思いますよ。痒くて肌をかき壊してしまうから、もう血だらけで。顔もパンパンで。
Yuki:もうわかっていても、対症療法としての薬に逃げそうになってしまうという・・・。
Keiko:一回二回は病院へも行って、薬も貰って試してみるんですが、良くなるのと悪くなることの繰り返しは変わらないわけです。どこかでその繰り返しを止めないと、と思ったわけです。


エア焼肉。いっぱい吸っとき!この匂い

ーー日本にいた時からもう、発酵食品づくりは始めていたんですか?
Keiko:そうですね。発酵食品の作り方のワークショップとかしていました。

ーーそうしたものを自分たち自身も食べるようになって、ご自身の低体温症やお子さんのアトピーなどは良くなってきたんですか?
Keiko:家族全員で食べ始めて、12年くらいした時に、みんなで一斉にすんごいインフルエンザになって・・・。
Yuki:いや、あれは、インフルエンザやなくて、息子のなんとか菌が染ったんやったで。で、みんな下痢が止まらなくなって、最後はガリガリに痩せて、トイレ行っても水しか出ないみたいになったんですよ。
Keiko:私とお兄ちゃんは比較的軽くて、薬は飲まないでひたすら寝て、2週間くらいで回復したけれど。
Yuki:とにかく、みんなカリッカリに痩せたよな。その頃、発酵食品を食べる以外にも、肉は食べないとか、一番やっていた時なので、体質の転機やったんやないかなぁて。
Keiko:でもそれ以来、大きい病気はしなくなったんですよ。当時京都にいたんですが、周りの友だちが自分たちでお米や野菜を作っていて、そういう限定したものしか食べなくて、お肉も今までで一番食べなかった時期でしたね。
Yuki:いやぁ、食べなかったよねー。無理して食べなかった。だから夕方、近所の焼肉屋の前で息子二人と匂い嗅いで、ご飯持ってきたらこの匂いでおかず無しでいけるんやないかて(笑)
Keiko:エア焼肉。「いっぱい吸っとき!この匂い!」って(笑)

ーー今はお肉、普通に食べますか?
Yuki:普通です。
Keiko:その頃、アトピーだった息子は1歳過ぎるくらいまで、車麩や高野豆腐や厚揚げさんを「お肉よ!」っていうて食べさせてて、お肉というものを知らなかったんです。
今でも、お肉は普通に食べるけれど、かといって食べないとダメとかはないですね。体が陰性に傾いていると、肉を食べたがったり、でも自分で体調を感じていて「今は俺はちょっといらない」とか。子供って動物みたいに感覚が鋭いし、シンプルなので、疲れたりちょっと体調に違和感があると寝て、落ち着くとすっと起きたり、自分でコントロールしてますね。


扱うものにはこだわるし意識もする。でもバランスと振れ幅は大事

ーーこのお店の自己紹介をお願いします。
Yuki:発酵食品と豆腐、あと生活を豊かにするものを売る店。ぼくのイメージでは、よろず屋みたなものをしたくて、何でも売ってます。でもウチで売っているものは、作っている人の顔が見えて、自分たちが納得するものですね。
前に、頼まれて会ったことがない「友だちの友だち」の服を、売ってみたことがあるんですけど、その服の前を通るたびに、なんや、すごい違和感があるんですよ。もう、その横を通るたびに気になってこう・・・。結局最終的には「ごめん、これ返すわ」って、返したという。

Keiko:だから、友だちだからって良しっていうものではないし、ちっちゃなスペースで全体の雰囲気のバランスも考えたいので、ごちゃごちゃの何でもありも嫌なんです。
ちゃんとそこに統一感があって欲しいし、自分たちが納得していなかったり、説明できないものは扱いたくないなぁっていうものもある。洋服のことも、食べることも生活の上ではひとつのことだと思いながらやっています。
Yuki:やっぱり、毎日品物を棚に並べたりキレイにするのに触ったりするとき、「ああ、ええなぁ」って自分でも思いたいじゃないですか。

Keiko:あと、私たちはいろいろ気を使ったりはするけれど、かといってガチガチに天然素材じゃないとダメだとか、どっぷりナチュラル派でもないので、自分たちの捉え方で、長く使えるもの、良いと思えるものを選んでゆきたいと思います。
食べ物でも、たまにはちょっと脱線してもいいんです。でも軸がどこにあるか知っていればそこへ戻ってこれるようにして、バランスや振れ幅を取っていたいですね。

ーー仕事をするうえで大切にしていることは?
Yuki:自分が楽しいと思えることですね(即答)。そこは、せっかく自分らで店をやっているわけだから、自分らが好きなものを扱ってゆきたいですね。
Keiko:食事のメニューも、私が好きなものしか作れないので、お客さんに「スイーツはないんですか?」とか聞かれるんですけれど、私、自分が甘いもの食べないので、それを置いておこうという概念があまりなくて。
思い立ったときに作ったりすることはあるんですけれど、それを定着させようとすると今度それがすごくストレスになってしまうので、好きなものだけを扱いたいなというのがあります。
でも、この間タイ人のスタッフの子の紹介で、フルーツの使い方食べ方を学んでいたんですが、そういうフルーツの延長みたいなスイーツが出せたらいいなぁとは思っています。

ーー「好きなもの」という言葉が、大切なこととしてお二人の口から出ていますが、具体的にそれはどんなことですか。

Yuki:何でもありというのは嫌なんですね。何かしらストーリーがあったり、ちょっとでも世の中の役に立ったり・・・。それでいてかっこいい、そして美味しいみたいな。なんでしょう、ファストフードのように、食べてお腹を満たすだけではなくて、食べると何かしらインスピレーションが湧いたり、着るものや持つものなら、それを身につけることで何かしら嬉しくなったり、日々の生活に新しいアイデアが生まれたり、そういうきっかけになるものを販売したい、取り扱いたい。そういう店にしてゆきたいですね。


気持ちや理屈ではわかるけれど、でも「食べに行ってる感」ってあるじゃないですか

Keiko:私、おばあちゃん子で、小さい頃おばあちゃんに育てられたんですけれど、がっつり昭和の時代なので、当時はオーガニックという言葉もなく、ただ商店街の近くに住んでいたので、誰が作ったかわかるものを食べてきたんですね。だから、子供の時からスナック菓子とかファーストフードというのが苦手やったんです。だから、結局自分らのメニューも、誰が作ったかわかる定食屋さんのメニューだったり、喫茶店のナポリタンとか、そういうテイストで行きたいなぁと思ってるんですね。
でもそれを、今までは出来合いの調味料で作っていたのを、調味料から自分たちで作って納得したものを出したい。「好きなもの」というのもいうのもそうですが、一番強く言っているのは「やっぱり化学調味料と白砂糖、精製された塩というのは使わないようにした方がいいです」ということですね。

あとはベジタリアンじゃないダメとか、オーガニックじゃないととか、堅苦しいことはなくて、身体に良くないものは使わないけれど、まあ、それなりにちゃんと作っています、というのをアピールしたい。そうでないと「オーガニックです」「ベジタリアンです」というお店へ行くと、気持ちや理屈で美味しくは感じるけれど、薬と一緒で「食べに行っている感」がある店とかあるじゃないですか。もちろん美味しいところもあるんですけれど。そうではなく、無理せんと普通に食べれる、というのがいいなぁ、と。それは年齢とか性別とか国籍関係なく、味覚でも共通のところがあると思うんですね。そこが大事かなぁと思います。

ーーお店に来るのはどんな方が多いですか?
Keiko:最初からターゲットを日本人にはしてないんですね。なので、自分たちが思ってもいないような方が来るということはあります。実際年齢層は高めで、タイの人でもバンコクから来る人とか、欧米人だと、チェンマイのベジタリアンやオーガニックカフェをとてもよく知ってる人とか。そんな人が、たまたま通りかかったら「こんなところがあったんだ!」という感じで喜んでくれたり。
お客さんの全体数はまだまだ少ないですけれど、毎週来てくれる方とか、毎回同じものを頼みはる人とか、そういう人たちと、私たちもゆっくり話ができるのもいい感じだと思っています。もちろんたくさんいらして、お話しできない時もありますけれど。
ただ料理を作りたいだけではなくて、話しをしたり、お互いに持っているいい情報や気を貰っている感じですね。
(Yukiさんに向かって)いい人が多いよね。ガイドブックに載っているわけでもないし、ツーリストがふらっと来るわけでもないので。

Yuki:お店の入り口ってあんな感じなので(一見するとレストランのようには見えない)、それでフィルターされてるかもしれません。看板の「TOFU」(豆腐)で来る人もいるし、けえへん人もいる。本当に国籍も含めてまちまちです。


ビジネスは素人。それでも伝えたいことがある

Keiko:ビジネスをするうえでは自分たちが素人だということ。そして好きなことだけしたいというのは素人だということも分かっているんです。ですけれど、始める前にいろいろな計画を立てはしますが、タイはそれが緩いおかげで、私たちでもスタートできたと思うんです。
特別、どこの国の人をターゲットにというのはなかったですね。敢えていうなら、タイにいる以上タイの人に理解してもらえないと嬉しくないっていうのはありました。
ここでお店をオープンする前はイベント出店などでマーケットに出ていたので、やっぱりお客さんはタイ人なんですよね。だから、その人たちに理解してもらおうと思ったらやっぱり、資料も日本語はなくて、タイ語にまず訳してもらって次に英訳があったりとか。ですからあまり「日本人へ」という意識はないです。もちろん、来てもらえたら嬉しいですけれど。

Yuki:最初は日本人にも、とも思ったんですけれど、反応がまちまちだったんですよね。
Keiko:それぞれここ(チェンマイ)に住み始める理由って人それぞれじゃないですか。私たちのような目的で来る人もいれば、旦那さんの仕事の都合で一緒に来る人もいる。タイのカルチャーに興味があって来て、こっちの人と結婚して生活している人もいる。
それぞれが思うタイの位置付けが違って、そこでタイに来て敢えて日本のご飯食べんでもいいわって思う人もいるやろうし。いろいろですね。ここに居る理由がそれぞれ大きく違うので、お店にマッチする人たちが実は少ないのかもしれません。
Yuki:基本、タイの若い人たちや同じ世代やったり、タイの人たちに助けてもらったり、作ったもん食べてもらったり。そういう人たちの方がぼくらのやってる事を面白がってくれますね。

Keiko:私は日本にいる時にも思っていたんですけれど、自分も子供が生まれて改めて思うのですが、今まで続いて来たいろいろなことが「うやむやになっていく」という感覚があるんです。
たとえば、多くのものが機械生産になってしまったこともそうです。私は職人の娘だったので、手仕事というのがとても好きなのですが、どの世界でも後継者というのがいなくなってきている。
少なからず、今自分たちが知った知識というのは、新しい知識じゃなくて、元々あって伝わってきたものを、今の生活の中に置き換えてアレンジして使わしてもらっているわけです。それを自分たちより下の世代に伝えてゆきたいという思いがあります。
やっぱり私、娘もいるので、彼女は子供産むこともあるだろうし、そうなった時に、私たちがやっていること、やってきたことを、次の世代にもわかってほしいなぁと。でも、その時に「おばちゃんがなんか言うてる」と思われるのは嫌やから、やっぱりそこに洒落っ気がないと若い子も見向きもせえへんやろなぁ。て。
そういう意味でも、いまこの場所(タイ)の人たち、そして若い世代の人たちに面白がってもらえるのは嬉しいですね。


eavamSTUDIO 3。自分でこういうのが欲しい、あったらいい。そう思うことが大切です

ーーそんなSTUDIO 3で、eavamの取り扱いを決めてくださった理由は何ですか?
Keiko:私は、日本にいた時からアルガンオイルのクリームは名前だけは知っていて、憧れのクリームだったんですが、その頃それを使う機会がななかったんです。で、普段あまり化粧とかしないんで、ちょっと肌に何もしない時期とかもあったんやけど、学生の頃は美容学校に通っていたし、興味はすごくあったんです。
そしてこっちへ来たらアルガンバームもある、ガスールもある。なら良いものは欲しいなって思ったわけです。個人的にもお話をして、これは置いてもらえるなら、是非!て。個人的な思いで決めました(笑)
Yuki:作ってはる人を重視で、僕なんかは。

ーーSTUDIO 3でのeavamの売れ筋は何ですか?
KeikoYuki:断然Kamakura set(トライアルセット)です!
Keiko:やっぱり最初の入りとして、3点セットで使い方はこうでって分かりやすいし、プレゼントにもしやすいですよね。
Yuki:海外から来た旅行者で、特に欧米系のひとにはとてもエキゾチックに見えるみたいです。ぼくから見てもエキゾチックです。
Keiko:試すにもプレゼントにするにもすごく手頃な値段ですよね。で、プレゼントて自分の好みだけやったら困るねんけど、これだと女の人だったらどうかなぁとか、想像したり勧めやすいし。


ーーご自分が気にいっているeavamのアイテムは?
Keiko:私は全部気に入ってるんですけれど。
Yuki:俺、使わしてもらってないな!「使ったらあかん!触ったらあかん!」て言われてる(笑)。
Keiko:しいて言うならアルガンバームですね。あと、洗顔だったらアルガン石鹸。エクストラバージンオリーブ石鹸も使ったことはあるけれど、普段がすっぴんなのと、タイにいると肌の日焼けが気になることはあっても、自分自身乾燥が気になったりすることはないので。そういう意味でもオリーブ石鹸よりも私はアルガンですね。
でもお店で、フルメイクの人にはオリーブ石鹸の方を勧めたりしてます。あまりメイクしていなかったり、敏感肌の人にはアルガン石鹸を勧めています。
Yuki:お店でeavamの商品を見ている人がいると、恵子がキッチンにいても、呼んで来て説明してもらってます(笑)。

ーー今、お客様やSTUDIO 3に興味を持っている方たちに伝えたいこと、お知らせなどがあれば教えて下さい。
Keiko:今、やっとこさ、味噌とか麹を安定的に作れるようになってきたところなんですね。麹も白米だけじゃなくて玄米とか黒米の麹でも作り、塩麹などの種類も増やしていきたいと考えています。味噌も麹や豆を変えるだけで無限に種類が作れるので。
本当に近々やりたいなと思っているのは、自家製調味料の量り売りです。
もちろん全部はできないんですけれど、種類が色々増えたらちょっとずつ、テイスティングしてもらって買ってもらうとか。合わせ味噌を自分で選んで作れたらめちゃええなあって思って。

私、日本でも味噌屋さんの前に並んでる、味噌が円錐形に綺麗に盛られているの見るのめちゃ好きなんですよ。そこにぱん! としゃもじが刺さってる感じとか。そういうのができたらええと思ってるんです。
あとパッケージングする時間や材料費も、量り売りにすると省けるし、器をお客さんたちに自分で持ってきてもらうことで、その省いた分、少し安く売ることもできるじゃないですか。そういうのがしたいなぁと。
結局、自分がこういうのがあったらいいな、欲しいなと思うことがきっかけですよね。
お豆腐も、実は日本で作ったこともないし、めっちゃ好きだったわけでもないんですよ。ただ、チェンマイに来て、豆腐が美味しくないなと思って。だから必要があって作り始めたんです。


2017年4月21日金曜日

eavamを日本でも - eavam landed at Japan !


昨年の今頃、チェンマイで産声をあげたeavamですが、
オーガニックスキンケアへの認知が始まったばかりのタイの中でも、
柔らかさときりっと新鮮な形や手触りに共感し、使ってくださる方たちが少しずつ増えてきました。
そんな中、日本では手に入らないかという問い合わせをくださる方、
中には実際に高額な送料負担も厭わずにご注文くださる方もいらっしゃるようになり、
それを励みにこのたび、日本国内対応のオンラインストアも、
4月17日からオープンの運びとなりました。



日本のeavamは、地域全体がユネスコエコパークにも登録されている、
緑も水も美しく豊かな三重の山中の小さな町の中にその居場所を得ました。
古い都でありながら、緑豊かなチェンマイで作られたものが、
図らずもそんな場所から送りだされるようになった事には、
いずれにも素敵な人たちとの思いがけない出会いやひらめきがあり、
セレンディップな消息を感じずにはおれません。

eavamの、今までみたことがない、けれど、どこか親しく懐かしく、
そして心地良い形と手触りを、是非実際に手にとってお試しください!
eavamを手に取ることが、
みなさまのセレンディップな・幸福な偶然の出会いとなりますように。

オンラインショップ https://eavam.official.ec/
オフィシャルサイト http://eavam.co.jp/


2017年3月14日火曜日

アクセサリーを洗う - cleansing accessories

タイは宝飾品に関する産業が盛んなところであり、見本市はひっきりなし、観光ツアーで郊外の宝石加工工場へ行くのはお約束です。チェンマイには、ウアライ通りという銀細工の職人が集まった地域がありますし、カレン族の銀細工など山岳民族の人々が作る装身具は、日本の雑貨屋さんで見かける機会も多いのではないでしょうか。

そうでなくても、この国は装飾品を身につけることは、お洒落以上に意味があり、かつ日常的なことに感じます。
たとえばスタッフたちの大半は、小さな仏像をチャームのようにつけたネックレスを首にかけています。その鎖はたいてい金製で、個人の好みが反映され、財産性もあるでしょうが、これは装飾ではなく深い信心を伴ったお守りです。
タイに来たばかりでその文化や習慣を良く知らなかったころ、とても美しく可愛らしいので、製造マネージャーのジャックさんのそれに無意識に触れようとしたところ、彼女が反射的に身を避けたことがあります。普段の彼女は、そうした邪険にも見える振る舞いを、決してする人ではありませんから、それが彼女にとってどれだけ大切で尊いものかを実感した瞬間でした。聞けばこれは、家へもどって外せば、自分の頭より高いところへ置いて決して粗略には扱わない尊いものだそうで、本当に申し訳ないことをしたと今でも思います。
また、あるスタッフを海外研修に連れて行った時、空港へ見送りに来た彼女のお母さんが娘を大切そうに抱きしめながら、その首にかけた白い紐のお守りの首飾りも忘れがたいものでした。

このように、装飾品を身につけることは、本来は見えない悪しきものから身を守ったり、誰かと思いを結んだり、自分の出自や信条を示したり、時には、ピアスや刺青のように、身体そのものの見え方を変化拡張までもし、理想の自分になったりあるいは違う何かになったり繋がったりする行いであり、そうした装飾品の意味は、誰の中にも今も生きているように思います。
そのような装飾品が、自己変容や向上、外の世界との結びつくためのシンボルとしてのあるさまは、私たちeavamのスキンケアラインの役割にも重なるように思えます。

薄い皮膚という境界の上に置かれたバームなどのスキンケア用品は、アクセサリーやメイクと同じように、自他の違いと共通性などその存在の意味づけを明らかにしつつ、それぞれの心と身体を健やかに保ち、それをもたらす自然や他者を尊敬すること。いかによりよく社会や世界と自分とをむすびつけることを感じるか。そのためのきっかけであり、もしくは第二の皮膚や自分とも思えるのです。

かくいう私も身を飾るというよりは、お守りとして毎日のようにその時々に合わせたアクセサリーを身につけます。
朝、仕事に出かける前に、その日にすることや前日にあったことを思い返し、今日一日どのような心持ちでありたいかを考えながらその日身につける服やメイクを選びます。アクセサリーも同じなのです。
そして、仕事を終えて家へ帰ってきてすることは、まずメイクを落とし顔を洗いシャワーを浴びて、その日の諸々を振り返り、句読点を置きます。

チェンマイは、涼しく心地よい寒季が終わり、乾いた熱い風と陽射しの暑季が到来しています。たしかに室内は空調で快適に保たれてはいますが、少し外に出れば、みるみる汗や埃で肌はなんとなくベタつき、心を重くするような膜に覆われたような感覚になります。製造に関わる私たちですし、こうした肌の感覚は人並み以上にデリケートです。
そうなれば、それらをさっぱり洗い流したくなるのが人の常ですし、もともと宗教的にも不浄は避けられ、涼しげにこざっぱりとしているのを好むタイの人たちは、水浴びやシャワーが大好きです。実際、ちょっと外出する前には必ずシャワーを浴び、洗いたてでアイロンの効いた服に着替え、髪を整え、お洒落な人ならばほんのり香りもまといます。

そんな様子を見ていると、彼らは日本人より何かを洗い流してリフレッシュするような皮膚感覚が鋭く、そうして作られる居住まいが周りに与える影響や、その場で醸成される空気について深い直感を持っているように感じられます。
以前は、仕事が最優先で食べることや身だしなみは二の次、とりあえず手が空いたらまず眠り、結果、あまり自分自身に構わないがらっぱちな毎日を過ごしていた私ですが、どんなに疲れて倒れそうでも、家へ帰ったらまずとにかくシャワーは浴び るようになり、また少しお洒落や身の回りの気配りを意識するようになったのは、この国で仕事をし、タイの人たちのリフレッシュ・切り替えの上手さに影響されたおかげのように思います。

さて、なんとなく汗で肌が鬱陶しくなりながら家に帰ってシャワーを浴びる前に、習慣になったことがもうひとつあります。
シャワーの前にまず洗顔をするのですが、その時に、その日つけたアクセサリーを洗うことです。

チェンマイはもう夏に入り、汗もかくので身につけるアクセサリーは、もっぱらシルバーなどの金属ですが、これをそのままにしておくと、汗に含まれる塩分のために金属イオンが溶出しやくなったり、チェーンに皮脂などがついて雑菌が増えやすくなり、せっかくのアクセサリーが肌への刺激となりやすくなるうえ、チェーンや石もどことなく濁って見えてしまいますし、肌に触れる手触りも心地よくありません。これではまるでアクセサリーをつける楽しみがすっかり失せてしまいます。
そんなことを思うようになり、自分自身の肌のためにも、お気に入りのアクセサリーのためにもいつからか、家に帰るとアクセサリーを洗うことも儀式のようになっていました。

手順はこんな感じです。
まず、石鹸で手を洗います。
今は、少しさっぱりした感じが良いので、アルガンオイルとココナッツオイルを主原料にしたアルガンソープ「sumimou 102」を使います。
手を洗うのは2回です。
まず、手の汚れをおおよそ落とすために1回。そして、きちんと汚れを落とすために1回。
アクセサリーを洗うのはこの2回目の時です。
泡で包むようにし、流水でさっと流し、タオルの上に置いて乾くのを待つだけです。
銀は鏡のような洗い上がりになりますし、水晶などの石はグラスを洗ったようにきゅっと指先が鳴る手触りになって透明度が増します。そして、何より朝、それらを身につける時に新品を身につけるような心地よさがあります。
(真珠のように、アルカリに弱いものは、その部分は水洗いをしてあとでクロスで綺麗にし、チェーンの部分だけを洗います。その他、水やアルカリに弱いものは洗浄は避けます。)

それからこのアクセサリーを洗う前の1回目の手洗い。これは、実はアクセサリーを洗うことだけが目的ではありません。
洗顔前の準備としても、とても大切なことです。
洗浄料を手に取り、肌を洗う大切な道具でもある手が汚れていては、洗浄料の力が落ちてしまいますし、肌への負担をかけることにもなりかねません。洗顔後につける化粧水やバームなども、本来の手触りや香りの心地よさが得られないこともあります。
だからこそ、洗顔前の手の洗浄は、朝夕の洗顔やスキンケアに欠くべからざる準備なのです。むしろ、アクセサリーを夕方洗うことは、そのおまけでもあるのです。
とはいえ、メイクやスキンケアのように、普段を心地よく過ごす助けをしてくれるアクセサリーです。第二の皮膚、体の一部として1日のピリオドを打つ時に「ご苦労さま」と挨拶しながら洗い清めてあげるのも、楽しいことではないでしょうか。
(花岡安佐枝)